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映画ディアスキン 鹿革の殺人鬼のあらすじとネタバレ感想

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評価

 ★★★☆☆

 面白い作品、とまでは言えませんが着眼点はぶっとんでおり、作品としてそれなりにまとまっているので★2よりの★3としました。

 カメラワークにも少し癖があるので好みは分かれるところでしょう。

あらすじ

離婚協議中のジョルジュは、憧れの鹿革ジャケットを購入してから狂ったようにそのジャケットに執着するようになります。

ジャケット購入のために全財産を使い果たしたジョルジュは生活するお金がありません。仕方なく、彼は自らを映画監督と言い、バーで働くドゥニースを動画の編集担当として誘い、彼女からお金を借ります。

その頃からジョルジュは鹿革のジャケットから「自らがこの世で唯一のジャケットになりたい」という声が聞こえるようになり、ジョルジュは街のジャケットを一掃するために動きだします。

はじめはお金を払いジャケットを脱がせていた彼ですが、ついにお金が尽きてしまい、仕方なく、殺してジャケットを奪うようになります。

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結末ラスト

ジョルジュは自らの殺人をビデオに収めてドゥニースに渡します。彼女は映像の迫力に感動し、ジョルジュを積極的に手伝うようになります。

ある日ジョルジュが広場で撮影していると、以前石を投げてけがをさせた少年の父親に射殺されてしまいます。

それを撮影していたドゥニースは撮影を続けながら、ジョルジュから鹿革のジャケットを奪い取るのでした。

 ネタバレ感想・解説

変わった名前のタイトル通り、変わった内容のスラッシャーホラーでした。

鹿革のジャケットに魅入られた男が世界で唯一のジャケットになりたいというジャケットの願いを聞き入れ、ジャケットを着ている人間を惨殺していくという斬新な設定です。

多くの場合、出オチで出来の悪いCGを見せられうんざりするケースが多いこの手の映画の中で、CGは一切なし、俳優の演技力だけで勝負したこの映画はB級映画として、残念なところと、それなりに見どころのある映画でした。

鹿革に魅せられた男

この映画が「あまり金掛かってなさそう」と思う要因の一つが、ほとんどジョルジュの演技だけで構成されている点があげられます。

その点このジョルジュという男はじめから終わりまでつかみどころのない演技で、これが元々「変わった人」なのか、鹿革のジャケットで「変わってしまった人」なのかわかりずらいのですが、これが逆にはじめから終わりまで不気味な空気で飽きずに話を観きれます。

特に腹話術のようにモーテルでジャケットと会話する彼の演技はシリアスな雰囲気の中でどこか間抜けで、個人的には恐怖と笑いをミックスした状態を楽しむことができました。(何しろジャケットがしゃべってるシーンで思いっきりジョルジュの口が動いてますからね)

一方でもう少しスプラッタな展開があってもよさそうな気もしました。

殺人シーンは極めてシンプルで淡々と進みます。作品全体の雰囲気的には違和感ないものですが、スラッシャー映画を見慣れている人からすれば物足りなさを感じるかもしれません。

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ラストの意味

ラストでジョルジュが撃たれ、ドゥニースが駆け寄るシーンがあります。

そこでドゥニースがジョルジュからジャケットを奪い取り、着て撮影するシーンがあります。

この点からもジャケット自体が魔力を持っており、ドゥニースを次の操り対象として選んだことがわかります。

映画としてはここで終わりですが、この後ドゥニースがまたジャケットを着た人たちを殺しにいくことは想像に難くないでしょう。