【映画レビュー】人肉ラーメンのあらすじ・ネタバレ解説評価【タイ発哀しき女のスプラッタ】
映画人肉ラーメンの評価
70/100点
驚嘆するほどおもしろ!という作品ではありませんが、人肉ラーメンという題名のインパクトとその題名を裏切らない内容に見てもよし、見なくてもよし、という評価になりました。
映画人肉ラーメンのあらすじ
ある日ラーメン屋のバスの元へ、アオイという女性を探す男が訪れる。
アオイは彼の婚約者であり、子守係としてこのラーメン屋に住み込んでいたがここ数日行方が分からなくなっていた。
バスは彼を気絶させ、磔にしてしまう。
バスには、幼い娘ブアがおり、幼いころ自分が親にされたように、罪の意識に苛まれながらも言うことを聞かないブアを折檻する。それでも二人は仲良く暮らしていた。
ある日、屋台を引いて町へ商売に出かけたバスだが、そこで反政府デモと警察の抗争に巻き込まれてしまう。それを通りがかった青年アタポンが路地へと逃がしてやります。
しばらくして町で再会した二人は互いに惹かれあい関係を持つようになります。
ある日バスが外出している間に、地下室に閉じ込めていた男が逃げ出した。
しかし片足を失い、衰弱した彼は裏庭まで出るのが精一杯だった。
バスに発見され、地下室へ連れ戻された男は、口が裂けるほどのスパイスを喉の奥に押し込まれた挙句、背中に鈎針を刺されて天井から吊るされてしまう。ラーメンの下ごしらえにするつもりなのだ。
バスには失踪した旦那が残した借金があった。
取立てに現れた3人組の借金取りに自慢の「人肉ラーメン」を振る舞い、食事に毒を持った。そして、食べている隙を突いてまとめて殺害し、地下室で切り刻んまれた。
手伝いにきていたアタポンが、裏庭の大瓶の中をのぞくと、そこには少女の遺体が浮かんでいた。
それはブアだった。
バスの旦那と、子守係のアオイが関係を持ち、その情事を覗き見した事がばれてしまい、二人に溺死させられたのだ。
その現実を受け入れることができなかったバスは、愛娘ブアの幻影と共に暮らしていたのだった。
アタポンの通報により、バスの店に警察の調査が入った。
ブアを殺したのは失踪した父親と子守役ということになり、その他の殺人はバレずに済んだ。
警察から解放されたバスが目にしたのは、彼女の狂気に気付いたアタポンがすでに別の若い女性の家に通う姿だった。
衝撃から、幼い頃に父親から受けた虐待の記憶などがフラッシュバックし、ますます正気を失っていくバス。
アタポンが恋心を寄せるニドという女性を自宅へおびき出し、地下室へと監禁。
磔にして切り刻まんとしたまさにその時、アポタンが現れ、混乱したバスは包丁を持って外に飛び出す。
助けに現れたアタポンを見て、ニドは彼とバスが共謀して自分を監禁したと疑いの目を向けますが、誤解を解くと同時にバスを追いかけます。
バスは自分がやってしまったこと、自分にやられたことがフラッシュバックしながら頭が混乱し、街をふらつき歩くことになります。
アタポンは彼女を追いかけていき、鉄橋で彼女と対峙しました。
彼を殺せという幻聴がバスを襲うが、彼女は理性によりそれを抑え、最後に川へ身を投げる。
映画人肉ラーメンのネタバレレビュー
どうしても映画の邦訳がいまいちな作品が多い中で人肉ラーメンというストレートな名前をつけたことは素晴らしいと思います。
そして何やりその名前に負けないとんでもないラーメンを作り出した監督に拍手を送りたいと思います。
なるほど、そうきたかという作品。食人族といえば基本は生で食べるのが当たり前、ゾンビも生で食べるのが当たり前。
それをラーメンという大衆食のダシを取るなんて、なんだかありそうな話で怖すぎます。
人肉を料理と言えばスウィーニートッドでトッドの女主人がトッドが殺害した相手の肉をミートパイに混ぜて客に食べさせるのを思い出しますが、ラーメンのダシのほうが絶対に分がありそうです(バレなそう)。
お湯のはった鍋から生首がぷかっと浮かぶあたりはぎょっとしますね。まるでお化け屋敷のようです。
スプラッタも抜群ですが、グロを追求しているわけではありません。あくまでも作品のアクセントとして、バスの狂気の表現としてグロがミックスされています。
さて、バスが頭がおかしい前提で話を進めますが、彼女はまさにブレーキが壊れた暴走機関車と同じでとにかく善悪の区別、そして社会性が全くもって欠落しています。
思考プロセスは至ってシンプル。目の前にうまそうなダシが出そうな生き物がいたからダシをとった。それだけなんですよね。
豚骨ラーメンは豚からダシをとるのだから人間でダシを取るという発想は理性のブレーキが外れた人間には当たり前の発想なんです。
かわいそうなバス
作中ではバスが虐待されていた事実はあまり描写がありませんがブアが虐待された描写があり、ブアが幻想であることが発覚した時点でこれはバスが体験したものをそのままブアが写し出していると、考えるのが妥当でしょう。
バスは決して殺人鬼ではありません。
食人族が人間を食用に必要なために殺すのと同じで、バスはあくまでダシを取るために殺します。
この点、レザーフェイスやジェイソンと違うことを強調しておきます。
ここからは想像ですが、ブアはバスの体験してきたことを写す鏡であることを考えると虐待だけでなく軟禁もあったのでしょう。
バスは母親から軟禁された上に虐待もされ、誰にも助けを求めることができなかったのでしょう。当然社会性など身につくわけもなく、閉じられた世界で生きていくことになります。
その彼女の狭い世界な中で絶対的な母親が教えてくれた彼女の生きがいが人肉ラーメンなんです。
私たちが仕事で会社の金庫にある札束を見ても何も感じないように、バスにとっても業務の一環で人を殺していたわけです。
料理のために肉を裁く人がサディストなわけではありません。それが仕事だからやるのです。
そんな彼女は終始被害者として描かれ続けます。
彼女自身は二度男に裏切られているのですから、信じられるのは母のみだったと言えるでしょう。
人肉ラーメンの最後に
とんでもスプラッタ映画かと思いきや、何とも悲しい切ないお話でした。
ラブロマンスを描きつつそれは悲しき物語です。
もちろん正気の沙汰ではないことは間違いありませんが、悪気のないバスに悪意はありません。
ただ、彼女が唯一悪意を持って殺したのは浮気した旦那とアオイです。
この二人はまさに殺される理由があったわけですが、そこだけは怒りを爆発させる彼女の中に人間らしさを見つけたような気がします。
何度も言いますが、考えても見てください。
母親は人肉ラーメンの愛好者、軟禁状態で虐待も日常茶飯事、好きでもない男と結婚させられその男は若い女と浮気、唯一の希望である娘もクズの旦那と女に殺されるという状況で正気を失ってしまうのはしょうがないことです。
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