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【少女の最後の決断は】映画ディストピア パンドラの少女のあらすじとネタバレ感想

ディストピア パンドラの少女

ディストピア パンドラの少女

ディストピア パンドラの少女の評価・感想

★★★★☆

マンネリ化したゾンビ映画に一石を投じる作品です。

終始暗い雰囲気の中でラストの展開については賛否両論でしょうが、個人的には楽しめる作品でした。

ディストピアというぐらい暗い世紀末でそれでも明るく生きているメラニーにはどこか希望のようなものが感じられたからでしょう。詳しくはネタバレ解説の章で魅力を記述します。

ディストピア パンドラの少女のあらすじ

近未来では謎の病気が蔓延し、人々が人肉を食べるようになるハングリーズという病気が流行っていました。その病気は体液により感染し、まるでゾンビのように人を変えてしまいます。

メラニーは軍事基地にいました。拘禁された彼女は日中だけヘレンの授業を受けていました。

メラニーはハングリーズでありながら高い思考能力を持っていました。そこにはメラニー以外にも多くの思考能力をもったハングリーズたちがいました。

ある日軍事基地がハングリーズに襲撃され、メラニーはヘレンとパークス、ハングリーズの研究をしているコールドウェル博士とともに基地を脱出します。

彼らが逃げ続けますが、ハングリーズの圧倒的な数の前に仲間は減っていきます。

ふと彼らはハングリーズの菌により寄生され、新しい菌糸を出している生体に出会います。これこそがハングリーズの菌の第2形態であるとコールドウェル博士は不安を覚えます。

一行は移動式の実験室を見つけ、そこを拠点とすることにします。

しかしそこにはメラニーほどの知性はないもののハングリーズの菌に耐性を持つ少年少女がいました。

彼らはパークスたちを食べようとしますが、メラニーが止めます。

「ディストピアパンドラの少女」の画像検索結果

結末ラスト

敗血症により先が長くないコールドウェルは自身の実験を完成させようとメラニーを眠らせ無理やり実験室に連れていきます。しかし、常人よりも肺活量が上がっているメラニーは眠ることなく実験室から逃げ出します。

メラニーは菌糸を出しているハングリーズのサヤに火を放ち、菌糸をばらまき、残った人間はハングリーズになりました。

ヘレンだけは実験室の中にいたので無事でした。

生き残ったヘレンは実験室から出られませんでしたが、メラニーや他の子供たちにいつものように授業をはじめるのでした。

ディストピア パンドラの少女のネタバレ解説

近年多くあるゾンビ映画の中で、最近はコメディだったり恋愛だったり、ミュージカルだったりと多くの"色物作品"が出てきたが、この作品もゾンビ映画でありながら一風変わった作品に仕上がっています。だが、ここまで絶望の物語はそうはありません。

ディストピアとはユートピア(楽園)の真逆の言葉、なるほどメラニーやヘレンがいる世界は世紀末の世の中でもはや楽園とは程遠い世界でした。

冒頭そんな世界ですらさらに状況は悪化、ハングリーズの襲撃によりもはや終の棲家であるはずの基地から逃走します。

一人また、一人と脱落していく中で、メラニーが最後に下す決断こそがこの物語を完成させています。

ゾンビ映画のラスト

多くのゾンビ映画が、パニック映画としての側面だけ提供し、特に何かが解決されるわけではありません。よくあるのは生き残った人間たちは旅を続けましたとさ、というような何とも言えないラストで終わるのが普通です。

この映画では最後にメラニーが菌糸を世界中に放つことで人間はヘレンを覗き一人残らず全滅したものと考えられます。

これはゾンビ映画において極めて異例のラストであると言えます。

メラニーがパンドラたる由縁

この映画や原作がパンドラを標ぼうしているのはこのラストに関連します。

パンドラの箱は聞いたことがあるでしょう。

パンドラの箱

パンドラの箱とは、ギリシャ神話で、ゼウスがすべての悪と災いを封じこめて、人間界に行くパンドラに持たせた箱のことで、パンドラが好奇心からその箱を開けたため、人類は不幸にみまわれるようになり、希望だけが箱の底に残ったというお話です。

ここでいうメラニーがあけた箱とは、人間に寄生していたツタのようなサヤのようなものです。それが開くと中から胞子がでると空気感染して人間はハングリーズになってしまい、文字通り不幸というか、人間はほぼ絶滅しました。

一方で、パンドラの箱には希望が残ります。それこそが移動実験室の中に隔離されたヘレンではないでしょうか。

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ラスト結末解説

まとめると、メラニーはそれまで人間のいい面と悪い面を多々見てきました。

コールドウェル博士はじめ多くの人間は自らの研究や命のことしか頭になく、メラニーのことはほとんど”研究のためのモルモット”としてしか見ていませんでした。そんな人間の汚い面とは裏腹にヘレンはまるで実の母のように自らを守ってくれ優しく接してくれました。

後半コールドウェル博士が自分をワクチン生成のために犠牲にしようとしたことでメラニーは世界にハングリーズの胞子をばらまくことを決断します。一方で、ヘレンのように心優しい人間は生き残る権利を与えたのです。

もう少し進んで考えるとメラニーは今いる人間を生き残らせることを諦めたのです。

その代わりに自分たちは二次感染した子供たちに知恵や秩序を与えてくれるヘレンを生かすことに決めたのです。

メラニーの生きる道は人間たちの中には無かったのです。彼女は終始絶望したことでしょう。

こんなに助けている相手が自分を恐れ、拘束し、挙句の果てには自分たちが生きるための糧(ワクチン)にしようとしているなど彼女にはさぞ絶望だったことでしょう。

そんな彼女の絶望を証するかのように人間が絶滅したあとのメラニーは自らの残された十分な時間に満足そうに微笑みます。

彼女にとっては人間がいたころの世界こそディストピアだったと言えるでしょう。

最後に

ゾンビ映画全般に言えますが、少しグロいシーンもありますが、見ごたえはある作品です。見終わった後に少し暗い気持ちになる作品ですが、メラニー視点でみれば、実はラストはハッピーエンドという見方ができる奇妙な作品であると言えるでしょう。

【最初で最悪のパージ】映画パージ:エクスペリメントのあらすじとネタバレ感想

パージ:エクスペリメント

パージ:エクスペリメント

パージ:エクスペリメントの評価

★★★☆☆

一言:パージと思わなければアリ

大ヒット映画「パージ」シリーズの4作目です。

お話としてはそれほど凝った脚本でもなく、驚きもなければ寝るほどのつまらなさもないかなという感じ。

ラストになればなるほどグダグダになっていく感じがしますが、パージファンなので星は3つというところでしょうか。 

パージ:エクスペリメントのあらすじ

 近未来のアメリカでは経済が崩壊し、“アメリカ建国の父”を名乗る新政党NFFA(the New Founding Fathers of America)が大きな支持を集め政権をとっていました。

NFFAは悪化した治安を回復させるためにパージと呼ばれる一日だけすべての犯罪が合法となる法律を成立させようとしていました。

その前哨として、ニューヨークのスタテン島でパージの実験を行い、効果の検証が行われるのでした。

スタテン島に住むお金持ちは島から逃げ出し、残ったのは報酬が欲しい貧困層の人間たちでした。

島に住むナヤはパージに反対するため抗議集会を開いていました。

ナヤの元恋人でギャングのリーダーのディミトリーはパージには反対ですが、自衛のために武器を集めていました。

攻撃的な性格の異常者スケルターはパージに積極的に参加して人を殺す気満々でした。

それぞれパージの夜を迎えることになります。 

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パージ:エクスペリメントのネタバレ感想

映画パージシリーズの4作目ですが、お話としてはエピソード1でして一番初めの物語です。

パージとは?

まずパージとは1年のうち12時間だけあらゆる犯罪行為が合法化されることを言います。

略奪や窃盗にはじまり、暴行、殺人までも合法化されます。

パージの世界では貧富の差が激しく、自衛の手段を持たない貧困層が大抵は被害にあうケースが多いです。

映画のパージの魅力とは

 映画パージがヒットした原因はその奇抜な発想とその非日常感にあります。

昨日まで仲良くしていたお隣さんが、パージの日になると日ごろの恨みでショットガンを持って家に押しかけてくるというこの裏表がたまらず刺激的なのです。

それは1からはじまり3まで同じで、常にパージで襲って来るのは友人、隣人、知人のケースが多いのです。

 

パージ:エクスペリメントの物足りなさ

 正直はじまりの物語としてのパージ:エクスペリメントには物足りなさを感じました。

一つはパージの面白さである「知り合いが殺しに来る」ところが薄いからでしょう。

素人の殺し合いというのはホラー映画としては大変魅力的なのですが、今回の殺しの中心はなんと一般人に紛れ込んだ傭兵部隊です。

どうしてもプロの殺し屋が素人を殺しているのを見ると興奮が半減してしまいます。これでは単なる弱いものいじめです。

はじまりの物語としての役割

そしてもう一つ残念なのは、エピソード1としての本作品にはもう少し「なぜパージが行われるようになったか」を追求してほしかったです。

作中では、恣意的に操作された実験結果によって「パージは必要だ」という結論に至っていますが、もう少し踏み込んでパージの必要性を証明してほしいところです。

改めてパージはなぜ必要か?

パージは元々経済崩壊した未来で溜まったうっぷんを晴らすための1年間の1日なのです。まるで1週間のうち土日があるように、1年間のうち年末年始や夏休みがあるように、日ごろのうっぷんを晴らすオンとオフの切り替えこそがパージの役割なのです。

これは私個人としては十分あり得る話だと思っていまして、こちらでも書きましたが

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 例えば風俗や水商売のない世界では男の性欲のはけ口が無くなるので女性への暴力が上がると言われています。

つまりこれらはいわゆる”必要悪”言われるものですのでパージにもその性質があります。

今回パージ:エクスペリメントではその必要性をぜひ解いて欲しかったところです。

最後に

 色々書きましたが、それでもパージシリーズは面白いです。

パージ:エクスペリメントも不満はありつつも単純にスリラー作品としては秀逸なのでぜひ、この手のスリラーが好きな方は見ていただければと思います。

過去作品はこちらにあります。

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義弟はサイコパス!映画キッズ・リベンジのあらすじとネタバレ感想

キッズリベンジ

キッズリベンジ

 キッズ・リベンジのあらすじ

 保釈金を払い出所したマフィアのボスのベルバンスは、逃亡するために自分の資金を横領した人間を探していました。

ベルバンスの部下のロイドは非情の殺し屋です。

彼は一人、また一人ベルバンスの金を盗んだ可能性のある人間を消していきます。

同じころ、当のお金を盗んだビルは息子のオーウェンとともに田舎町を走っていました。ビルはマギーという女性と再婚し、 一緒に住むための新居を目指しています。

マギーにはローレンという娘がおり、はじめはあまりしゃべらない暗い性格のオーウェンが弟になることに素直になれませんでした。

 そんなまだぎくしゃくした4人が引っ越しの片付けをしていたある日。

ロイドがビルの家に乗り込んできます。

まずはマギーが見せしめに殺されてしまい、2階でシャワーをあびていたローレンはあわてて逃げ出し、オーウェンの部屋に逃げ込みます。

 ロイドの部下がローレンたちを捕まえに2階に上がってきましたが、オーウェンはバットを持って反撃します。

 窓から逃げ出したローレンたちですが、オーウェンは逃げながらいくつか罠を仕掛けていました。

ロイドの部下たちはその罠で負傷していきます。

子供を捕まえられないことに苛立つロイドでしたが、テーブルの上にあったオーウェンの診療記録を見て妙に納得します。

オーウェンは「The Aggression scale」=「攻撃性尺度」が異常に高く、敵とみなした相手に容赦ない攻撃性を見せるのでした。 

キッズ・リベンジのネタバレ感想

期待してなかったのもありますが、結構面白かったです。

これまでリベンジものと言えば、パニッシャーのように筋肉マッチョな男が家族を殺された復讐をする話を王道に、アイスピや発情アニマルのような女性が暴力を受けることでそのリベンジをする作品が主流でした。
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 この手の映画はどうしても暴力描写が多く、特にアイスピや発情アニマルなどは女性が暴力を受けるあたりが受けが悪く、また何よりもワンパターンになりがちでした。

さて、話を元に戻すとこのキッズリベンジは主人公は当然子供であり、その子供が親の復讐のためにマフィアをしばいていくという新しい作品です。

リベンジものの新境地

もちろん、つくりはもう少し改善の余地はあります。

まずはリベンジのシーンがしょぼすぎます。

罠をもう少ししっかり設置してもいいと思いますし、結局罠にかかっても相手は死なないケースが多いので、そこらへんはもう少し思い切ってほしかったところです。(首の一つや二つくらいは飛んでほしかったですね)

しかし、それでも孤軍奮闘というか(二人ですが)、子供が一生懸命マフィアを撃退しようとするのは毛色は違いますが「ホームアローン」のような安心感があり、ワクワクします。

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キャストも◎

個人的にポイントが高いのはキャストです。

特にローレンはまずかわいい。

ギャルっぽいというか、勝気に見えてやっぱり女の子的な弱さもあり、不気味な弟に戸惑いながらも受け入れていく臨機応変さというか、野良犬精神のようなものがうまく備わっていて役にとてもぴったりでした。

そして、オーウェンです。

とにかく目つきがやばいので、立っているを見ているだけで「あ、こいつヤバいやつだな」と気づきます。

演技というよりは素のような気もするのですが(笑)

この二人が妙に役にはまっていたので違和感なく見ることができました。

最後に

B級映画ですが掘り出し物だと思います。

ぜひ続編、もしくはリメイクも見たいですね。

 今度は残虐描写を少しアップさせて、キャストはもしかしたらもう少し年齢下でも面白いかもしれません。

リベンジ映画ならこちらもおすすめです↓

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ゴーストストーリーズ-英国幽霊奇談-のあらすじとネタバレ感想

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ゴーストストーリーズのあらすじ

心理学者のフィリップ・グッドマン教授は、イギリス各地でニセ超能力者やニセ霊能者の嘘を暴いてきました。

彼は目の前の見えている者だけ真実と信じています。

ある時グッドマンは、自身が憧れていた学者キャメロン博士から連絡を受けます。

彼は長らく行方不明になっており、博士は隠れるようにトレイラーハウスで暮らしていました。彼はこれまで多くの嘘を暴いて怪奇現象や心理現象はないと言い切ってきましたが、彼自身ある3つの事件に出会ってからは自分が間違っていたと考え隠居していたのでした。そこでは彼はグッドマン教授に3つの事件を調べなおして欲しいと言います。

夜間警備員、家族関係に問題を抱える青年、妻が出産を控えた地方の名士……3人の超常現象体験者に話を聞くため、グッドマンは旅に出ます。

しかし、そこで彼が知るのは想像を絶する残酷な現実でした。

ゴーストストーリーズネタバレ感想

ある意味印象に残る映画ですね。好みは分かれるところでしょうか。

まず演技派俳優が揃っており、展開はベタでありつつ丁寧に作られているので、「よくできた世にも奇妙な物語」や「よくできた怪談話」というところでしょうか。

怪談話好きな日本人

特に個人的には1つ目の警備員の話なんかは王道の怪談話としてとても好きです。

例えば口裂け女みたいな怪談話は多くの場合、事実が淡々と述べられるケースが多く、そこになんらかの練られたシナリオなんて存在しません。

日本人は特にそういうシナリオよりも、「その幽霊はこういう子供の霊だ」とかの霊魂の由来のようなものがすっきりすればそれでOKな不思議な生き物ですよね。(それじゃ何も解決しないのですが、、、)

その点前半は結構楽しんだ日本人が多いのではないでしょうか。

結末のオチ解説

さて、問題は後半から結末にかけての展開ではないでしょうか。

前半は単にインチキを暴くお話から、後半は一転マーティン・フリーマンが出てきたあたりから雲行きがあやしくなってきます。

それはインチキを暴くリアリティショーから突然不思議の国のアリスの世界に飛び込んだようで、壁をはがせば別の世界へ飛んでいき、死んだ人間が目の前にいたりとSFのような世界に様変わりです。

そして、ラストでグッドマンは実は植物人間状態で、彼が昏睡状態の意識下で見ていた夢だったという結末オチになります。

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 散りばめられた伏線を回収する楽しみ

最終的に全て植物状態であるグッドマンの夢であることが明かされます。

しかし、3つの事件を体験している時に多くの伏線があることがわかります。

3人の登場人物

まずは3つの事件の3人の登場人物は全員グッドマンを担当している医師、研修医、総事業者であることがわかります。

9つの数字

そして、数字です。

「6 79 19 20 48 92 1 32 11」という数字はいじめられっこだったキャラハンが水路に探しにいった数字です。これらがそれぞれの3つの怪奇現象の現場のいたるところに登場します。

ラジオ

1つ目の警備員が聞いていたラジオは、現実世界で清掃員が聞いていたラジオでした。

他にも多くの伏線があるので探してみるといいでしょう。

英国らしい皮肉

 「目に見えるものしか信じない」と言っていたグッドマンは結局自分が見ているものが全て幻想であることに気づかされます。

こういったブラックジョークを挟まない皮肉がなんともイギリスらしい映画だと思いました。

 評価

ゴーストストーリーズ-英国幽霊奇談-は元々舞台からスタートしているため展開が目まぐるしい、というよりは話は王道の道筋をたどることになります。

それゆえに安心して見れる作品とも言えますが、私個人としては少し物足りなさも感じました。

★★☆☆☆

映画を見たら舞台も見たくなりますし、舞台を見た方はぜひ映画もご覧ください! 

【下品の美学】映画モンスターモーテルのあらすじとネタバレ感想

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モンスターモーテルの評価

★★★★☆

素直に認めますが、大変下品で低俗な作品です。

とにかく、下ネタが多く、しかもスプラッタ描写もあるので見る人を選ぶ作品ですが、それなりにホラーを見尽くした人にはとても受ける作品でしょう。

通常噛みつかれることで感染するのがゾンビですが、今回はファ●クによって感染する性病のようなゾンビたちです。

正直バカバカしいストーリーや設定ばかりですが、B級映画と言えば、これぐらいはぶっとんでいるほうがかえってすがすがしく見れる作品です。

二度見ようとは思いませんが、一度は見てみる価値はあるかと思います。

モンスターモーテルのあらすじ

 深夜人気のない遺体安置所で男が女性の死体と性交しています。

その死体には身元不明、性感染症の疑い、放射線被ばくというタグがついていました。

男は家に帰ると突然変異し凶暴化し、母親を襲いだします。

その後彼は青年たちが運転する車に轢かれますが、そのまま荷台に乗っかり街へ向かうのでした。

所変わり高校生のクリスティン、キャリー、フレディ、ジェイソン、ブルックリンの5人は春休みを利用して海へ向かっていました。

同じころパメラは恋人で軍人のダークの車で海に向かっていました。

しかし、彼らは途中で泊まることになったモーテルでゾンビ化した清掃員たちに襲われることになるのでした。

モンスターモーテルのネタバレ感想

評価にも書いたとおり、とにかく下品、汚い、低俗な作品です。

これは一見ディスってるように聞こえるかもしれませんが、B級スプラッターゾンビ映画にとっては誉め言葉です。

いつの時代もカリスマというのは少し遅れて認められるものですが、この映画はその片鱗を見せつつあります。ただ、それは褒めているのではなく、一部の人間にとってカルト的に受けるという意味をもって評価をしています。

もう冒頭から死姦でスタートするあたりがぶっとんでいます。

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その女性が放射能に汚染されていて、そのせいで清掃員がゾンビになってしまうというトンデモ設定です。

やはり皆さん女性のためにもコンド●ムは必ずつけるようにしましょう。

でないと、こうなります↓

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さて、無事こやつがゾンビになってから感染スピードはとんでもない早さで広まります。

まずは母親をファ●クして、そこから手当たり次第に襲います。しかも老若男女関係なく、です。

とにかく、オナ●ーあり、生理あり、タ●ポンあり、ゲロあり、ゲイあり、スカト●ありともう思いつく下品なやつはたいてい含まれています。

個人的にやはりきついのは女性の下から血が大量に飛び散るあたりはかなり来ていました。やはりこれぐらいはぶっとんでいないと。

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当然こんなテキサスチェーンソーに出てきてたような奇怪なおばさんもしっかりとレ●プされゾンビになります。

ゾンビは数じゃない

さて、今回のこの映画で改めて思うのはゾンビというのは数ではない、ということです。

ワールドウォーZしかり、ゾンビ映画というのは、とにかく数いればパニックものになると思っている人が多いのですが、結局数が多くても雑魚の寄せ集めでは迫力がありません。その点、今回の名もなき清掃員のゾンビははじめから終わりまでほとんど一人で戦い続けました。

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今回の助演男優賞は彼で決まりです。

もはや主人公も誰なのかよくわからなかったので主演男優賞でもいいくらいです。

彼はスタートから死体と戯れるという荒業を成し遂げ、その後近●相姦、食人、スカ●ロまでありとあらゆるタブーを30分ぐらいで一気にやり遂げます。

もうタ●ポン口に入れたところなんて本当にキチ●イすぎてもはやカリスマに見えました。

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そして、何より彼には弱点がありません。通常頭が弱点ですが、頭をやられても生きてますし、キン●マを打ち抜かれたときはさすがに痛がってましたが、それでも戦い続けました。

最高に怖いのは頭を撃ちぬかれても死なないゾンビでしょう。もうそれはゾンビとしての暗黙の了解を越えてますから。むしろキン●マを打ち抜かれて痛がる姿は、同じ人間のような温かみすらありました。

最後に

この映画を見た時にモンスター映画のフィーストを思い浮かべました。

しかし、やはり私は圧倒的にフィーストのほうがカリスマ的と思っています。

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 この作品も惜しいところまでいっていたのですが。

もう少しブラックジョークを散りばめてよりダークな世界観を作ってほしいと思います。

【Netflix】ワウンズ:呪われたメッセージのあらすじとネタバレ解説【映画のメッセージは?】

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ワウンズ:呪われたメッセージの評価・感想

 ★★☆☆☆

 ネットフリックの意味不明映画ワウンズ:呪われたメッセージです。

基本的に終始何事もうまくいかない主人公を見せられて見終わってから少し暗くなる映画です

。何より、ラスト20分の展開が早すぎて気づいたら振り落とされて終わっていた。。。。という人も多いのではないでしょうか。

何よりも主人公がヘタれすぎて魅力がないですからね、呪われてもちょっと同情できないかな、というのが正直な感想です。

ワウンズ:呪われたメッセージのあらすじ

ニューオーリンズのバーでバーテンダーとして働くウィル。

そのバーは地元の人たちが集まる憩いの場でした。その夜は常連のアリシアとその恋人ジェフリー、大男のエリック、あとは大学生と未成年の少年たちがいました。

エリックは仲間たちとビリヤードで盛り上がっていましたが、酔った勢いで喧嘩になります。大けがを負ったエリックを見て、警察を呼んだウィルですが、警察沙汰は御免と店のメンバーは全員その日は帰りました。

ふとウィルはバーに大学生が忘れた携帯が置いてあることに気づきます。

仕方なく一度携帯を持ち帰ったウィルですが、携帯に届くギャレッドという人から届く不吉なメッセージが気になり、携帯のロックを解除します。

するとその中では世にも恐ろしい写真が多くあり、気味悪がるエリックにもう一度ギャレッドから「助けて」という通知が来ます。

翌朝、昨日起きたことを恋人のキャリーに説明し、彼女はすぐに警察にスマホを持っていくべきだと言います。

キャリーを大学に送り届けたウィルは、バーに戻ろうとしますが、ふと自分が尾行されていることに気づきます。

ウィルは昨日ケガをしたエリックの様子を見に行きますが、彼は顔に穴が開くほどの傷になっており、病院に行くようにすすめます。しかし、彼はかたくなに行くのを拒みました。

するとまた携帯に「負傷した友達はどう?」「あの友達のようになれるね」というメッセージが届き、スマホを見ると生首やガイコツの写真や動画があることに気づきます。

その後ウィルやには不可解な出来事が起きるのでした。

ワウンズ:呪われたメッセージのネタバレ解説

ネットフリックスのホラーは最近丸投げ映画が多いのですが今回もとてもわかりずらい丸投げ映画でした。

それが「ワウンズ:呪われたメッセージ」

主人公のウィルがふとバーで拾ったスマホの中身を見たことから摩訶不思議な出来事が周りに起こるようになり、最終的に彼自身も精神的に異常をきたしてしまうのですが、なぜ彼は精神的におかしくなってしまったのか?

ラスト結末でエリックに起きた異変は何なのか?とか多くの疑問に対して全く説明がないまま終了してしまう映画なのです。

ここでは私が勝手に考える今回の映画の解説を書いていこうと思います。

 グノーシス主義とは

さて、エリックの彼女キャリーが呪われたようにPCで検索していたのがグノーシス主義です。

グノーシスとは古代ギリシャ語で「認識」「認知」「知識」という考えです。

グノーシス主義とはWikipediaなどを見ても正直さっぱりですが、今回映画に関係ありそうな要点だけ書いていくと以下のようです。

・今私たちが生きているこの世界は悪の世界であり、私たちの肉体は罪の産物である

・キリスト教的な唯一神を否定し、神様はそれぞれの精神の中に認知(=グノーシス)した瞬間に現れる

(一部間違っているかもしれませんが、私は上記のように理解しました)

 これらはキリスト教と真っ向から対立する話ですので、キリスト教圏内では敵視される考え方のようです。

一つ目は極めてネガティブな考え方です。

二つ目については日本人からすれば瞑想の考え方に似ているのではないでしょうか。

瞑想することで自分の精神状態に向き合い、神に同化するような感覚に似ているようです。

「ワウンズ」の画像検索結果

傷の翻訳書

もう一つグノーシス主義と同時にキャリーがネット検索し、拾ったスマホ内にも出ていた本が「傷の翻訳書(translation of wounds)」です。

この本の一節には人間が解剖され、穴が開いている中から何か光のようなものが差し込んでいます。

グノーシス主義に照らし合わせると人間の肉体は罪であると同時のその中には神に通ずる何かがあると理解することができます。

エリックの中でウィルが見た物

 ここまで言えばラストも理解できると思いますが、ラスト結末でエリックの傷口からウィルは何かを見つけます。そして、その何かはエリックからウィルへ移っていきます。

それはグノーシス主義と傷の翻訳書からすれば神に近い何かであると考えられます。

つまりこの映画は人間が神を一目見ようと模索する映画であり、似た映画と言えばマーターズがあります。

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 マーターズは神に近づくために人間を拷問にかけて極限状態まで追い込みますが、本作では人間の中に神を見出す作品と言えます。

最後に

ネットフリックスのホラー映画はわかいずらい作品が多いですので好みは別かれるかもしれませんね。

これも最後は「これで終わり?!」と困惑した方も多いと思います。

途中までよかったですのでそこは残念な作品です。

【ネタバレあり】映画IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり。のあらすじと解説【リメイク成功か?】

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IT イット THE ENDの評価

 ★★★☆☆

 映像としての完成度は文句なしです。(もちろんその分お金も時間もかかっているでしょうが)

イットのリメイクということでまず1段階ハードルが上がり、1作目が中々に良かっただけにもう1段階ハードルが上がったことで評価は少し厳しいものになるでしょう。

 もともと前作のテレビ映画の時も2作目はレビューが荒れたようですので仕方ないかもしれませんね。

まずは1作目のIT/イット"それ"が見えたら、終わり。を見てから勧奨することをおすすめします。 

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IT イット THE ENDのあらすじ

 メイン州、デリー。ペニー・ワイズの惨劇から27年後、ゲイのカップルがペニーワイズらしきピエロに襲われる事件が起きます。

 

ベリーに住んでいたマイクは警察無線で事件を知り、ペニーワイズの犯行だと確信します。

マイクはすでに町を出てしまっていたルーザーズ・クラブのメンバーをまたデリーに集めるため連絡を取ります。

ビルは小説家として大成していました。

ビルは建築家として成功を収めていました。

リッチーはコメディアンとして名をはせていました。

エディはリスクコンサルタントとして働いていました。

ベバリーは夫とファッションブランドを立ち上げましたが、暴力をふるう夫におびえて暮らしていました。

 

それぞれ成功を納めていた彼らはデリーへ向かいますが、スタンリーだけは電話の後で手首を切って自殺してしまいます。

デリーの中華レストランでルーザーズ・クラブは久し振りに再会し楽しい時間を過ごしますが、マイクがそこで今回集まった理由を話し始めます。

みんな不思議なくらい27年前の事件の記憶がないこと、ペニーワイズが再び覚醒し事件を起こしていること、27年前に誓いを交わしたことを話し始めます。

楽しかったこれまでの会話をぶち壊されたリッチーは不機嫌になりましたが、ふと食後に運ばれたフォーチュン・クッキーのおみくじが不吉な文字に並びます。

その直後クッキーは不気味な化け物に代わり彼らを襲います。しかしそれはペニーワイズが彼らに見せた幻影でした。

 

店を出た彼らはスタンリーの家に電話すると、妻から彼が自殺したこと聞きます。

さっきまで話半分だったエディとリッチーは突然事の重大さに気づき、町を出ると言いだします。

なんとかみんなの協力を得たいマイクは必死にビルを説得します。

 

町の図書館で司書をしながら、長年ペニーワイズの抹殺方法を模索してきたマイクはかつて先住民が行っていたチュードの儀式について説明します。

同じ頃、ペニーワイズは野球場で幼い少女を誘い出し、襲っていました。

また、地元の問題児で過去にマイクやベンをいじめていたヘンリーは、父親を殺害後精神病院へ収監されていましたが、ペニーワイズの手助けで病院を脱走します。

その頃、町の宿泊所へ戻った残りのメンバーは、過去にペニーワイズの口から放たれたデッドライトを浴びたベバリーがメンバーの未来を見たことを知ります。

べバリーはスタンリーだけでなく、ルーザーズ・クラブ全員が死ぬ悪夢を見たと告白します。

遅れて宿泊所へやって来たマイクとビルは、団結してチュードの儀式を行えばペニーワイズを倒せると皆を説得します。

そのためには27年前の過去でそれぞれ自分にとって思いが残る記念の品を見つける必要があるとし、彼らはそれぞれの思い出の品を探しに町へ散らばっていくのでした。

ビルは町の骨董屋で自分が昔乗っていた自転車を見つけます。

 自転車に乗った彼は自分が昔住んでいた家に向かいますが、そこでジョージーが亡くなった排水溝を見つけます。

覗き込むとそこには黄色いレインコートを着たジョージーがいて、ビルを手招きします。腕を差し出した彼は排水溝に引きずり込まれそうになりますが、なんとか逃げ出します。

 そこには27年前にビルがジョージーに作ってあげた紙の船がありました。

べバリーも昔住んでいたアパートへ向かいます。そこには既に父親は住んでいなく、老婆住んでおり、彼女はすでに父親は亡くなったとべバリーに伝えます。

老婆の行為で部屋の中に入りお茶を飲むことになったべバリーはふと壁の隙間を掘り出します。そこには27年前自分が隠したタバコや差出人がわからない手紙が入っていました。

老婆とお茶を飲んでいたべバリーですが、突然老婆は豹変します。彼女はペニーワイズの幻影で、きれいな部屋は荒れ果てた風景に戻ります。べバリーはなんとか思い出の品を持って逃げ出すのでした。

リッチーはゲームセンターへ来ていました。昔そこでストリートファイターのアーケードゲームをやっていました。

ふと彼は広場で巨大な人形に襲われたことを思い出します。

エディは薬局に来ていました。彼は幼いころから喘息の吸入器をそこでもらっていました。彼は薬局の地下で母親が襲われる幻影を思い出します。

驚いた彼はその場から走って逃げるのでした。

ベンは学校に来ていました。

べバリーに好意を寄せた日々を思い出しますが、そこでペニーワイズに襲われます。

なんとか学校を脱出した彼でしたが、思い出の品はずっと持ち歩いていたべバリーのサインをもらった卒業ノートだったことに気づきます。

 彼らはそれぞれの思い出の品を手にもう一度集まり、チュードの儀式への準備を進めるのでした。

IT イット THE ENDのネタバレ解説

ここではIT/イット THE ENDの疑問を整理して解説していきます。

もちろんネタバレを含みます。

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それぞれの思い出集め

今回ペニーワイズを倒すために重要なのがチュードの儀式です。そのためにはそれぞれの忘れていた記憶と思い出の品を集めることが重要になります。

ここではビルをはじめそれぞれの忘れていた思い出(というより多くがトラウマ)とその品を整理します。

ビル

思い出…27年前、弟のジョージーに遊びに行こうと誘われた彼は、面倒に思い仮病を使って彼を1人で遊びに行かせ結果的にペニーワイズに殺されてしまいます。

自分が弟を殺す原因を作ってしまったと彼の思い出になりました。

思い出の品…手作りの紙の船

ベバリー

思い出…べバリーは父親から暴力を含む虐待を受けていました。ある日彼女は父親から逃れるため家を飛び出します。

彼女は差出人のわからない(本当はベンから)ラブレターを大事に家の壁に埋めました。

思い出の品…子供の時にもらったラブレター

ベン

思い出…太っていた彼は激しいいじめにあっていました。卒業の時にだれも書いてくれなかったサイン帳にべバリーだけがサインをしてくれました。

彼はキレイで快活なべバリーに恋していましたが、それを打ち明けられませんでした。

思い出の品…ベバリーが書いてくれたサイン帳

マイク

思い出…両親が焼死して、ヘンリーたちの激しいいじめにあっていた彼はルーザーズクラブが石合戦でヘンリーたちを撃退したことでルーザーズクラブに仲間入りします。

思い出の品…いじめにあっていたころにベバリーが石合戦で助けてくれた石

 リッチー

思い出…幼少期からひょうきんな彼でしたが、実はゲイであることを周りに隠していました。ゲームセンターで一緒にストリートファイターで遊んだヘンリーのいとこの男の子に一目ぼれをしました。また、友達の中ではひそかにエディに好意を持っていました。周りに打ち明けられない彼は木の板にひそかに自分とエディのイニシャルを刻むのでした。

思い出の品…ゲームセンターのメダル

エディ

思い出…幼いころから臆病だったエディ。その原因は過保護すぎる母親の歪んだ愛情でした。母親はエディを弱い子供だと思わせるために彼を喘息持ちだと思い込ませます。母親の支配下にあった彼は喘息でもないのに常に吸入器を持ち歩いていました。

思い出の品…喘息の吸入器 

スタンリー

思い出…ベンが作ったルーザーズクラブの秘密基地で遊ぶ彼ら。スタンリーはみんなの紙に蜘蛛の巣がかからないようにシャワーキャップを人数分もってきてつけていました。

思い出の品…秘密基地のシャワーキャップ

なぜ彼らは過去の記憶がないのか

マイク曰く、町を離れれば離れるほど過去の記憶がなくなっていました。

一方で町にとどまっているマイクは27年間忘れることなく、新たにペニーワイズが復活したときにいち早く気づきました。

記憶が消える理屈は詳細には明かされていませんが、ラストでマイクとビルの会話から「今回記憶が消えないのは「忘れたくない」という思いが勝ったから」ではないかとマイクが電話で話しています。

幼少期の時は色々トラウマや秘密を抱えたまま時が過ぎましたが、今回はそれを乗り越えたために町を離れても記憶が消えないものと思われます。

スタンリーはなぜ死んだのか

ルーザーズクラブで真面目な存在スタンリーは27年後集まる場に来ませんでした。

彼はバスタブで手首を切って死んでおり自殺しました。

元々原作ではペニーワイズによって自殺に見せかけて殺された、という設定でしたが、リメイク版の本作ではラストで手紙によってスタンリーの真意が明かされます。

曰く、27年後にペニーワイズに立ち向かうときには必ずルーザーズクラブ全員で立ち向かわなければならないが、自分は心が弱いので立ち向かえないと思い、自ら自分の存在を消すことで他のルーザーズクラブのメンバーに後を託したのでした。

原作と映画のチュードの儀式の違い

原作でのチュードの儀式は「ペニーワイズとルーザーズ・クラブのメンバーがお互いに舌を伸ばし、重ね合わせたものを噛み、どちらかが笑ってしまうまでジョークを言い合う」というとんでもない儀式でした。

さすがにこれを実写化するのは不可能ということで、映画のチュードの儀式は思い出の品を集めそれを燃やすしながら呪文を唱えるというものになりました。

結果的に映画ではチュードの儀式は失敗してしまいます。

マイクはなぜ嘘をついたか

ペニーワイズを倒すためにチュードの儀式を行おうとするマイクですが、彼はビルたちにはある事実を隠していました。

それはチュードの儀式をやっていた先住民族たちが過去に何度もペニーワイズの退治に失敗していたという事実です。

マイクはこれをビルたちに伝えなかったのは「成功する」という気持ちを強く持ってもらうためと説明していました。

チュードの儀式は「精神的な意志の戦い」であるため、恐怖心などが勝ると失敗してしまうためです。

「it thend」の画像検索結果

IT イット THE ENDのネタバレ感想

あれから27年すっかり大人になったルーザーズクラブ(負け犬たち)が復活したペニーワイズと対決する本作は1作目、IT/イット"それ"が見えたら終わり、の続編です。 

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 さてIT/イット"それ"が見えたら終わりは歴代ホラー映画としては記録的なヒットを生んだ作品であり、その続編とあり、世界的にも期待が高い作品だと言えます。

しかし個人的には残念な出来であったと言わざるを得ません。

ここでは1作目を越えられなかった本作の感想を解説していこうと思います。

ペニーワイズの描き方

1作目の最大の立役者はペニーワイズ演じるビル・スカルスガルドの怪演が大きな部分を占めました。

ただ、残念ながらこの2作目のペニーワイズはとにかく化け物の描写が多いです。原作でも蜘蛛の化け物が現れますが、もはやペニーワイズの姿はピエロというよりただの化け物でした。

大人VSピエロ

 このイットの良さは子供たちが勇気をもってピエロの化け物に立ち向かうところです。そこに勇気、友情、冒険、そしてちょっとの恋愛が入ります。

残念ながらいい大人になった彼らがピエロに立ち向かうというのはどうしても構図として違和感があります。

さらに言えば、ルーザーズ・クラブのメンバーの多くはかなりの成功を収めており、高級車に乗ったり、もはや負け犬軍団ではないのです。そこのあたりもちょっと感情移入しずらいところではあります。

 長い・薄い

 やはり、長いです。もともとは4時間近くあった作品をなんとか2時間40分くらいに落とし込んだために、内容としてははしょりすぎて薄く、時間としてはそれでも長いという帯に短し、タスキに長しという状況になってしまいました。

個人的にはイットほどの知名度があれば3部作にするという手もあったのではないかと思います。

思い出集めを第2部として、チュードの儀式を第3部とするとちょうどよかったように思います。

 よかった部分

 ですが、作品としてよかった部分もあります。

一つは純粋なホラー映画としては完成度が高いということです。

それはゴア描写もしっかり描かれ、怖さという面では最近のホラー映画として十分満足できる内容でした。

また、個人的にベンとべバリーの恋愛はいい感じに描かれていたように思います。

そこだけはまだ甘酸っぱい感じがあり、イットのいい部分が出ていたように思います。

最後に

ラストでスタンリーからの手紙が届きます。これは完全に映画リメイクオリジナルでした。(原作ではスタンリーはペニーワイズに殺される)

やはりハッピーエンドで終わるのはいいことです。キングの作品は結構ふわっと終わったり、バッドエンドもあったりするのでその点は見終わった後にすっきりする映画になっています。

特にホラー映画が苦手な人は血が飛び散るゴア描写に耐えられないかもしれませんが、それさえ我慢すれば十分楽しめる作品だと思います。

映画黒人魚のあらすじとネタバレ感想【どこらへんが黒いのか】

黒人魚

黒人魚

黒人魚の評価

★★★☆☆

ロシアンホラーという未知の領域のホラーに興味を持って鑑賞しましたが、結果はまあいい意味でも悪い意味でも普通のホラー映画でした。

いい意味で言えば、人魚の形相も怖いし、お話のテンポとしても速すぎず遅すぎず、適度に人が襲われますのでホラー映画としては十分見れるものになっています。

他方で、ワンパターンの脅かし方とストーリーには意外性も何もないのでこの手のホラー映画を見慣れてる人からすると(私もそうですが)見終わった次の日に「あれ?どんな話だったっけ?」と記憶に残らないリトルインパクトな映画でした。

黒人魚の画像

黒人魚のあらすじ

水泳の期待の選手であるローマは友人たちと独身お別れパーティのために湖の別荘にやってきます。

婚約者マリーナと喧嘩中だったローマはそんなパーティを楽しむ気になれず一人、湖で泳いでいると謎の女性に出会い、キスしてしまいそのまま気を失います。

気を失ったローマは友人たちに助けられ、そのそばには女性用の櫛が置いてあるのでした。

その日を境に彼は恐ろしい幻想に襲われ、日ごと体力が衰えていくようになります。

心配したマリーナはローマの介抱をしますが、ローマと同様、不気味な幻影に悩ませられはじめます。

ローマは湖で出会った女性の話をすると、ローマの姉は彼女の父が昔していた話を思い出し、彼らを連れて、湖の別荘へ行くのでした。

そこではかつて、ここで女の入水自殺があったことを知り、自殺した彼女の墓が湖の底にあることを知るのでした。

黒人魚のネタバレ感想

あらすじの通りですが、湖に住み着いた女性の悪霊が悪さをする話でロシアでは伝統的な”ルサールカ”という水の霊の伝説をホラー化した話のようです。

残念ながらこの手の民謡的なホラー話はそのマイナー度合によって、ロシア人以外はその世界観から振り落とされてしまいます。

ただ、話としてはよくある話で、女が捨てられた男を逆恨みし、男を殺して自分も死んで勝手に悪霊化する、というあまり同情の余地がない話なわけです。

黒人魚という題名が。。。

特に"黒"要素はなく、単に人魚というと世界ではアリ●ルが知名度では抜群なわけなのでア●エルよりもダークサイドが強いので安易に黒人魚と題名したものと想像できる。

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ちなみに、英語では「THE LAKE OF THE DEAD」というこれもまた、誤解を生みそうな題名で、ゾンビファンに間違って手に取らせようという配給会社の魂胆が見え見えなので、その点ではまだ黒人魚のほうがマシでしょうかね。

ちなみに人魚といっても半人半魚ではなく、しっかり足が生えています。というより完全に人間よりなんですね、エラとかもないですし、ですのでこれ本当に人魚の翻訳であってるのかもちょっと気になります。

作品自体の評価

さて、作品自体の評価としては「普通」の一言に尽きます。

普通が一番という人にとっては見てしかるべき作品でしょうし、期待するとがっかりするというのが正直なところでしょう。

特にストーリーについてははじめのほうは結構いい感じに主人公のローマが呪われるのでワクワクするのですが、後半に連れて着地する場所を明らかに見失っていきます。

ローマの不調の原因もわかった、悪霊の正体もわかった、でも倒し方どうしよう、、、ラストのオチどうしよう、、、ということでとってつけたように「髪の毛が弱点や!」など突然現れます。

また、ストーリーも細かいところは気になってしまいます。

そもそもですが、呪われた親父はなぜわざわざ別荘を息子に渡したのか、、、非常に迷惑ですよね。

なぜか突き合わされたローマの友人は結局一人人魚に連れていかれるわけでかわいそうすぎます。

さらにはローマの姉がばっちりとマリーナを裏切って生贄に捧げようとしますが、どう考えてもハッピーエンドでは終わらない関係崩壊の一途をたどっています。(しかも本当に意味のない生贄でしたしね)

普通のホラー映画であるがゆえにこういうところが結構目立ってしまうのでちょっと残念ですね。

最後に

ロシアホラーというのは未知の領域ですが、これだけをもってロシアのレベルは低い!なんて言えませんね。

人魚の顔なんかは一瞬しか出てこないのも残念です。なんだか残念残念残念とネガティブなことばかり書いてしまいましたが、それほどひどい作品ではないので、気軽に期待値を下げてご鑑賞いただければと思います。

消えた妻子を探せ!映画フラクチャードのあらすじとネタバレ感想

フラクチャード

フラクチャード

フラクチャードの評価

★★☆☆☆

当初のワクワク感から最後どう着地するのか、どんでん返しを期待してしまった分、ラストにはしっくりこない部分が残る作品でした。

この手の映画では"意外性"が最も重要な要素になりつつ、消えた妻子という弱きものを救う”正義”こそ観客が求めているものと思いますが、結局はその両方とも叶えられることなく映画は終わってしまいます。

フラクチャードのあらすじ

父親のレイ、妻のジョアン、娘のペリのモンロー一家は旅行途中で休憩したスタンドでペリが野犬に襲われ工事現場に落下、怪我をしてしまいます。

レイはあわてて病院にペリを連れていき、診察してもらいますが、医師から念のため脳のCTを取ることを進められます。

CTをとるため地下に付き添いで降りられるのは一人だけといわれ、レイはその日のモーテルを確保するために待合室で待つことにし、妻と娘をエレベーターで見送ります。

待合室で居眠りをしてしまったレイは時間がだいぶたっていることに気づき、受付でCTをとった二人の現状を聞きに行きます。

しかし、CTを取っているはずの二人はすでに姿がなく、それどころかその日にCTをとった患者はいないと言われてしまいます。

妻子が消えてしまい混乱するレイですが、通報によって駆け付けた警察と協力し、病院でぺりたちを探します。

しかし、カルテはおろか、院内の防犯カメラにもペリたちは映っていません。

担当した医師や看護師もレイのことは覚えていましたが、ペリやジョアンのことは知らないと言います。

混乱で興奮するレイですが、病院の精神科医の勧めでぺりが怪我したというスタンド近くの工事現場へ行くことになります。

現場へ行くとそこには大量の出血があります。

警官たちはそこが事件現場でレイが重要参考人ということで彼を拘束します。しかし、そこで野犬を見つけたレイは自分の記憶は間違っていないと確信し、警官の銃を奪い取り彼らを監禁し、自分は病院に戻ります。

病院にうまくもぐりこんだ彼は一目散にペリたちが下りて行ったエレベーターへ向かいます。

警備員からカギを奪った彼は地下で手術を受けるペリを見つけるのでした。

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結末ラスト

警官から奪った銃で医師たちの手術をやめさせたレイは、薬を撃たれてぐったりしているジョアンと手術台に寝かされたペリを車いすに乗せエレベーターに向かいます。

うまく脱出したレイは急いで車に二人を乗せ発信します。

ペリは骨折した腕を痛がりながらレイに歌ってとせがみます。

しかし、車のバックミラーにはそこにいるはずのジョアンとペリの姿はありませんでした。

彼女らはレイの作り出した幻想なのです。

レイははじめの工事現場での事故でジョアンとペリを失ったショックから自分を精神的に守るために、脳が幻覚を見せていたのでした。

レイが歌いながら運転する車はジョアンとペリの遺体を乗せて、家路につくのでした。

 フラクチャードのネタバレ感想

ネットフリックス(Netflix)独占映画フラクチャードです。

消えた妻子を探すために男が奔走する映画ですが、同様の映画で言えばジョディーフォスターのフライトプランなどがありますね。

ただ、残念ながら個人的にはフライトプランのほうがよく脚本が練られており、こちらのフラクチャードについては想定していたラストに着地する形でした。

娘はどこへ行ったのか?

物語は終始「妻子はどこへ行ったのか?」という問題が付きまといます。

結局その答えを出すために奔走するわけで、大きく2つの結論が予想されました。

①主人公のレイは正気で、妻子は病院側の臓器売買のために隔離されてしまった。病院側はそれを必死に隠そうとレイを異常者扱いする

②主人公のレイはイカれていて、妻子は既に工事現場への落下で死んでいる。病院側はすべて本当のことを言っていて、レイの完全な独り相撲

 

物語は①の路線で進みつつ、結局②というオチでした。

フライトプランなど、子供がいなくなる系はおおむね①が多いのですが、結論としては②で意外でした。

ただ、②でいくのであればもう少しシナリオは考えて欲しかったところです。何しろ②のようにレイが見えている景色が全て幻影で、独り相撲になってしまうともはや何でもありの状況になってしまうのでお話として「がっかり」なものになってしまうからです。

「フラクチャード 映画」の画像検索結果

終始独り相撲の主人公

やはりこの映画に惹かれないのはサム・ワーシントンの独り相撲が結局独り相撲だったということにつきますね。

サム・ワーシントン自体、正直アバターの時からどうも野生児っぽいイメージがあり、ターミネーター4で滑り、主役でやった崖っぷちの男では身体を張ったものの少し強引でつっぱしる知能が低い感じが否めません。

そして、今回も結局妻とうまくいっていないレイ役で不器用なゆえに妻も子供も失ってしまうというなんとも救いようのない役をしていました。

そういう意味では監督の狙い通りなのかもしれませんが、終始なんだか好きになれない主人公が結局そのまま映画としてエンディングを迎えてしまったと言えます。

最後に

ネットフリックス(Netflix)映画としては出来があまりよくない映画でした。

オリジナル映画だとこれぐらいなのでしょうか?

バードボックスや嵐の中でなど面白い映画もあるのでぜひもう一度ネットフリックス(Netflix)本領発揮の映画を作ってほしいものです。

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その迷路は出られない!映画イン・ザ・トール・グラス~狂気の迷路~のあらすじとネタバレ感想

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イン・ザ・トール・グラスの評価

★★★☆☆

メイズランナーをはじめ、迷路ものというのは決定版の映画がないジャンルかもしれません。

例えばキラーメイズなんかは発想がいいものの、名作と呼ぶにはもう2歩も3歩も欲しかった作品です。

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 その点、元祖迷路映画といえば、映画「キューブ」じゃないでしょうか。

シンプルな3D迷路の構造の中で人間同士の醜さが露呈する、一つの完成形のような映画です。

さて、その点で見てもこのインザートールグラスというこの映画は完成度で言えば、完璧からはまだまだ遠い作品になってしまいました。

ひまわり迷路を見ると心がワクワクするように大きな巨大な草むらを見ると迷路のようにワクワクしてしまいますが、そのワクワクは冒険心として長く続くことはなく、途中で見る人間を困らせるようなわかりずらい内容になってしまいます。

死人は動かないとか肩車しながら進めば一定方向には勧めるなど、多くのアドベンチャー要素を持ちながらその視点は徐々に迷路から人間の罪のような非常に抽象的な内容に映っていってしまうことで作品そのものを楽しめなくなってしまったのが、残念な原因だと言えるでしょう。

イン・ザ・トール・グラスのあらすじ

カンザス州の一本道を走るベッキーとカルの姉弟。ふと草むらから男の子が助けを呼ぶ声が聞こえます。

カルは心配になり、子供助けに行きますが、入り込んですぐ二人はこの草むらの以上に気づきます。

この草むらは方向感覚、距離感覚が完全に狂ってしまう巨大な迷路の入り口だったのです。

声がするほうへ、向かっても中々たどり着けない二人はいつの間にか出口を見失ってしまうのでした。

イン・ザ・トール・グラスのネタバレ感想

スティーヴン・キングとジョー・ヒルが2012年に発表した短編小説『In the Tall Grass』を原作とした映画が本作品です。

よくあるスティーヴン・キングの投げっぱなし映画の一つで、キングの投げっぱなし映画と言えば映画セルなんかが記憶に新しいですね。

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 しかもさらにループものとくればこれはもう細かい辻褄なんかを気にしだすともう映画のストーリーは耳に入らなくなってきてしまいます。そのため、この映画を楽しむには「細かいことは気にしない」というおおらかな心が必要です(笑)

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映画の発するメッセージ

元々短編の小説であるものを1時間半の長編に伸ばしているので少し間延びしているのはしょうがないでしょう。

しかし、それがこの映画を少し退屈なものにしてしまっています。

さて、この映画を簡単に解説するとこの映画は地獄の苦しみを再現している映画と見れます。

映画内に出てくるそれぞれのメンバーは各々が罪を持っています。

妊娠して安易に養子に出そうとする女、堕胎しろと迫る男、妹を愛してしまっている兄。

そういった、罪を背負っている人間がこの草むらに迷い込むと出られなくなります。出られなくなるどころか、何度も飢え死にや頭がおかしくなった人間に殺されることになります。

違った観点で見ていくと地獄というのは生前の罪によってその罰を受けると言われています。例えば北欧神話のヘルの世界では、罪ある者は毒の川を渡るように言われ、その川の流れの速さから何度も転び毒を飲んで苦しむ、それが永遠に繰り返されるのです。

生前の罪は(殺人、堕胎、近親相姦など)全て繰り返される罰によって苦しめられます。

映画トライアングルで、一生船の中で殺され続ける主人公は、神話シシュポスの神話をもとに作られました。

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 神の怒りを買ったシーシュポスは大きな岩を山の上に運ぶという罰をもらいますが、その山は山頂に上った瞬間に岩が下に転げ落ちてしまうという構造だったのです。

このように罪人への罪は終わることのない罰によって行われます。

だからこそ、トラヴィスとベッキーはラスト子供を産み、養子に出さないことに同意したからこそこの狂気の迷路から抜け出ることができたのだと考えられます。

最後に

ループものとしても迷路ものとしても中途半端な作品になってしまいました。

単純に迷路から脱出するために出演者たちが共闘するようなものを想像すると想定外の映画になってしまうことでしょう。